読書こそ「領域展開」理不尽で不可解なことが起きがちな現実の世界からあなたを守るバリアにもなる(藤森かよこ【馬鹿ブス貧乏】㉕)
学び続けること [苦闘青春期(37歳まで)]
■税金と社会保険について学ぶ
心を守る読書と平行して、この社会の仕組みを知るために、「税金の本」と「社会保険の本」を、私はあなたに読んでもらいたい。このテーマの本は、いくらでも書店に並んでいるので、テキトーに選んでください。手っ取り早く、あなたが生きる社会の仕組みを知りたいならば、税金と社会保険の知識はマストだ。
あなたが起業しているとか、ハンドメイドのものを売っているとかでなく、賃金労働をしているのならば、どんなに低賃金であっても、あなたの賃金からは前もって所得税が差っぴかれている。これを源泉徴収(げんせんちょうしゅう)と呼ぶ。
極めて低収入の場合は確定申告をすれば、源泉徴収されたお金が返金(還付(かんぷ))される。低収入のくせに寄付すれば、寄付した金額は収入から控除(こうじょ)され、収入から源泉徴収されていたお金の何がしかは、やはり返金される。
ただし、駅前のよくわからない街頭募金に寄付しても控除されない。税務署が認めた組織でなければ、寄付したとは認められない。
不思議なことだが、小学校でも中学校でも、税金や社会保険の仕組みについて詳しく教えない。国語の時間には、税や社会保険に関する法律文を読んで理解できる訓練をしてもらいたいものだと、ずっと私は思ってきた。
そうしたら、2020年度から高校の国語の科目構成が変わると聞いた。文学作品に偏らない多様な文章を理解し、論理的に自分の思考を表現する能力を養う「論理国語」という科目が新設されるそうだ。
高校からといわずに、小学校からでも、法律文や、いわゆる「霞ヶ関(かすみがせき)文学」(霞ヶ関の中央官庁の公式文書の作文)を音読すると、お役所文書の故意の難解さ曖昧(あいまい)さ意味不明さに耐性(たいせい)ができるのではないか。
小学生のときに、税金や社会保険の仕組みをしっかり学べば、国民から収奪した税金と呼ばれるカネを、もっとも効果的に無駄なく使用されるように配分し監視することが政府のすべきことであると理解できる。本来ならば。
さらに、国民健康保険や国民年金や厚生年金なるものは保険であって、その保険の掛け金は、被雇用者ならば、将来の自分の毎月の給与からあらかじめ差し引かれ、積み立てられ、病気のときや、高齢期には、そのカネが使えるので、ちゃんと働いて保険の掛け金を払えるようになろうと思えるはずだ。
さらには、途中解約できないし、解約しても解約返戻金(へんれいきん)が出ない保険は保険とは言わないから、日本の社会保険は、「保険」ではなく、「税金」の別名であることもわかる。
将来的には年金制度が破綻すると危惧されているが、それは少子高齢化だけが原因ではない。積み立てられていた年金原資を、天下り先の機関設立のためであれ、運用であれ、役人が流用したことも原因のひとつだ。
しかし、つくづく私は思う。「税」というものを考えついた人間は天才だ。税でしかないのに、「社会保険」と呼ぶことを思いついた人間も天才だ。人間の悪知恵の限界のなさには、ほとほと感心するというより感動する。
こういうからくりも小学生の頃に知っておくと、政府や役所に依存的になることもないだろう。
社会は、勝手に自然に動いているのではなく、人間が作った仕組み(システム)によって運営されている。つまり、人間によって変えることができる。変えることができないものなど、人間の世の中のルールにはない。
このような基本的なことは小学校時代に徹底的に理解しておくべきことだ。しかし、日本の初等教育の不備のために、つまりは日本の民度の低さのために、あなたは青春期になって、あらためて独学自習しなければならない。
でも遅過ぎることはない。自分の給与明細書(めいさいしょ)をじっと見つめながら、税と社会保険について学ぼう。
加えて、法治国家の日本国の骨組みである法についても学べれば理想的だ。大学の法学部に行かずとも、法を学べば、知識は力なりという言葉の意味を実感できる。
たとえ、「法の下の平等」が建前(たてまえ)でしかないにしても、人間は建前という法に則(のっと)った正論を主張して戦うしかないのだから。
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